No.35  『 I am ready to Pitch. Give me your ball!』

本日は、悔しいならがも子供たちが頼もしく感じる試合でした。今日の夕方の話の時間で、監督と子供たちとのやり取りの中で、私の息子とアメリカの監督とのやり取りで思い出したことがありました。

それは、監督が叱咤激励するところで「おまえは今日の試合でオレがリリーフで投げたいという気持ちにならなかったのか?」と聞いたときのことで、同じようなことは私の息子が約10年前にアメリカの監督からの言葉とよく似ていました。

今日は、そのエピソードをお話させていただきます。

今は大学生の息子は、10年程前はアメリカ3年目の5年生でヒューストン西部の選抜チームに所属して、時々リリーフピッチャーをする選手でした。英語での意思疎通も大きな問題がなくなり、野球も地域の選抜チームに入れるレベルになって、アメリカの子どものようにプレーできるようにはなっていたのですが、どうしても生真面目でシャイなアジア人から抜け出せず、本当のアメリカの子どもになるには一皮むけていない状況でした。

一方、ピッチャーとしては、コントロールはアメリカ人に負けないレベルでしたが、重い球は投げられなかったので、強いチーム相手でパワーヒッターにストライクを取りに行くと抑え込むことができず直ぐにさく越えを食らい、自信が揺らいでいた時期だったと思います。

そんなある時、チームのエースが勝っていた試合の後半に打たれて、リリーフピッチャー達もフォアボールなどを出してそれが原因で逆転負をした試合があった時のこと、その遠征の帰り道でチームの子どもたちと親たちは打ち上げを兼ねて牧場付レストランに立ち寄りました。

そのレストランで、チーム監督の傍でビールを飲んでいた別のコーチが息子を呼び止めて言ったことが、今日の監督が言ったことと少し似ておりましたので、思い出してほくそ笑んでしまいました。

それは、「今日みたいな試合で、打たれたエースを引き継いだリリーフ達がダメなときは、他のアメリカ人のようにきみも自分をアピールしろ。その時はコーチにこんな風に言うんだぞ、『I am ready to Pitch. Give me your ball!』、そしてコーチからボールをもぎ取るんだ。次の時ために練習するから、今やってみろ。」と言われて、これまたビールを飲んでいるコーチに向かって『I amready to Pitch. Give me your ball!』と何度も言って、ボールをもぎ取る遊びをして楽しんでいました。

コーチも意地悪で、それではダメだと言って渡さずに何度もからかっていましたが・・・。

チームの大人たちにとっては、息子をからかって楽しくビールを飲むのが目的ですが、そのときは息子を一皮むきたいという感じも確かにあり、和気藹々とした楽しいひと時だったことを覚えています。

私を含めて皆様も今のチームの選手たちと過ごせる時間がドンドン少なくなってきています。これから最後に向けて、子どもたちの益々の成長と次への自信を深めてもらうことを第一の目標にして接していきたいと改めて感じた一日でした。

今日は悔しい中でも本当に楽しい試合ありがとうございました。

(2014年11月/S)


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